木工屋の桐の木

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木工屋には、なぜか未生の桐がよく生えてくるらしい。
当社の工場も、何本か生えているが、もちろん植えたものではない。
まして、家は抽斗の中板はおもに桂を使い、
桐は伝統的工芸品や特殊な製品だけに使うので、
あまり沢山使うわけではないし、第一、板を使うのであって
板を置いておいても芽はでない。
おそらく、鳥が運んでくるのだろうが、しかしなぜ桐だけなのだろう。
他の木はめったに生えては来ない。

また、この桐、とても不思議なことがもう一つあって、
大体建物の際みたいなところから生えて来て、
軒先でちゃんと自然に軒をよけてさらに伸びていく。
まるで、目があって、ちゃんと見ているようだ。

いやしかし、木だってしゃべらないだけで、ちゃんと見ているし
感じているのだろう。

実は意外と厄介もので、時期になると落ちてくる大きな葉っぱが
近所のクレームの元になる。

木工屋に不思議と生えて来る桐。
軒先の桐の木を見るたびに、一番身近に、木が生き物だと
いうことを、あらためて感じる。

厄介だけれど、切るのもしのびなく、
結果、今日も冬空を見上げて立っている。
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# by matsumotomingei | 2009-02-28 18:08 | 諸事雑談 | Comments(0)  

名工の引退

体調不良が原因で、突然老職人が一人引退することになった。
当社に入られてから、51年間仕事をしていただいた。
半世紀にわたる長い時間だ。
よる年波というが、何時までも現役だと思っていた。
K氏はなんでも製作できた。椅子、卓子、棚、箱物なんでも。
松本の伝統的工芸品である茶布台も得意とした。
あるとき、茶布台の製作の一部始終をTV番組のために撮影したいと
申し入れがあった。
お願いしたのはK氏、作業は1ヶ月に及んだ。
「年だからうまくいくかや~。」
朴訥とした口調でそういいながら、協力してくれた。
撮影用に製作したので、お客様に行く当てが無く、とある展示会に
出展したところ、一人のお客様が
「これはいいね~、なんてやさしい座卓だろうね~。」
と一人感心して、結局購入された。
老工の手が覚えた仕事ゆえの魅力なのだろう。
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駐車場が見える窓辺がK氏の仕事場。
さりげなに駐車場の出入りをチェックしては、珍しい車が来ると
「ありゃ~なんて車だい?具合いいんかや?」
と聞いてくるK氏が居なくなることは、
とてもさみしい。
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# by matsumotomingei | 2009-02-23 17:36 | 諸事雑談 | Comments(0)  

ロッキングチェア⑥

ロッキングチェアのご紹介、最後は藤張りの小ぶりなタイプと
ウインザーチェアのロッキングチェアです。
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#96C型ロッキングチェア W50xSH36xH96 税込308,700円
写真がないので白黒ですみません。
藤張りの小ぶりな椅子です。編み物をするための椅子、
「ソーイングロッカー」です。とても女性らしいフォルムのロッキングチェアです。


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W型ロッキングチェア W57.5xSH38xH105 税込161,700円
弊社を代表するウインザーチェア、#44A型と同型のロッキングチェアです。
大きめですが、キッチンチェアをベースにしたロッキングチェアゆえ、
普通の椅子に座るように、しっかりと座れる印象があります。
スタイルはとても安定感があり、ある意味ロッキングチェアのイメージでしょうか。

ロッキングチェアを特集して、多数紹介してきました。
ロッキングチェアはその実用性のないイメージから、また嗜好品的な
イメージから、長年欲しいと思われていても、それより先に実用品をと
考えられるようで、購入にいたらなかったというお声をよく聞きます。
しかし、立ち座りが安全で、長時間の着座に耐えられるこの椅子は
本来、生活の中からより快適さを求めて進化した形であり、
まさに実用品であると言えます。
ぜひ一度その座り具合をお試しいただき、お考えになってはいかがでしょうか。

ただし! やんちゃな小さなお子様がいらっしゃるお宅は、要一考です。
遊んで、足などをはさんでは大変ですから。
そんなお宅は、あともう少し待ちましょう。(^^)

平成28年6月15日に価格改定しています。ご注意ください。
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# by matsumotomingei | 2009-02-20 15:12 | 椅子 | Comments(0)  

ロッキングチェア⑤

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#515E型ロッキングチェア W61xSH35xH112 税込256,200円
軽く。美しい椅子です。

藤張りのロッキングチェアです。
何年か前に、ケネディ大統領の愛用のロッキングチェアが
クリスティーズかなにかのオークションに出品され、1000万近い
金額で落札された記事を見たのですが、その新聞記事に
載っていた写真の椅子が、この椅子とそっくりで驚いた思い出があります。
ケネディは大変な腰痛持ちで、あまりのひどさに執務に支障をきたす
ほどだったそうです。
そこで、世界中からあらゆる腰にやさしい椅子を集めて試したところ、
結局地元ボストンのロッキングチェアが最も良かったという話は
有名な話です。

この椅子は、カタログには載っていないのですが、古くから製作している
椅子です。一時、藤の質が落ち、とても折れやすい時期があり、
一時製造中止にしていました。
この椅子は、社内ではなぜか「ドリアン」と呼ばれ、なぜそんな呼び方を
されていたのか古い職人に聞いたことがあります。
すると、この椅子が出来た当時、「ドリアンアイスクリーム」というものが
流行ったらしく、この椅子の背柱の先端についているギボシの形が
それにそっくりだったので、そう呼ばれたとのこと。(^^)

笑ってしまいましたが、案外そんなもんです。(^^)

平成28年6月15日に価格改定しています。ご注意ください。
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# by matsumotomingei | 2009-02-19 17:39 | 椅子 | Comments(0)  

ロッキングチェア④

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#610D型ロッキングチェア W53xSH35xH110 税込 186,900円
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K型ロッキングチェア W54.5xSH37xH100 税込 220,500円

この2種類のロッキングチェアは、どちらも大変個性的な椅子です。
まず、#610型は通称スプリング・ロッキングまたはプラットフォーム・ロッキング
といい、ロッキングチェアの特徴である船(振り子)がありません。
台と椅子とをスプリングでつなぎ、その力でロッキングする仕掛けです。
また、すべて轆轤の棒で構成され、まさに雰囲気からして編み物をする
ご夫人が座っている姿を連想させるようなスタイルです。

我々が所有するこの椅子の原型は、子供用のもので大変かわいらしい
のですが、これまた大変本格使用であり、当時の作り手のこだわりか
もしくは注文主のこだわりを強く感じさせます。

もう一つ、K型は、構造に轆轤などの棒(スピンドル)を一切使用しておらず、
すべて板材で構成されているのが特徴です。
これは、材料の無駄使いをなくすために、端材の利用を考え、
工夫した結果だと聞いていますが、いやいやそんな雰囲気は微塵も感じません。
写真ではわかりにくいのですが、一見箱状に見えるこの椅子、
直角に構成されている部分が一つも無く、前から見ても逆八の字、
横から見ても逆八の字に組まれており、大変作り手泣かせといえましょう。
つまり、一箇所角度の検討を間違えると、最後に必ずどこかに隙間ができてしまうのです。
この椅子は重心が他のロッキングチェアより低く、そのためロッカーが短くなっており
場所をとりません。また、重心が低いゆえに揺れが安定しており、
揺れることによる恐怖感がありません。
座り心地もまた独特で、固めのシートクッションもあいまって、非常に落ち着きます。
カタログになぜか載っていない、隠れた名品です。

さて、次回はどのタイプを紹介しましょうか。
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# by matsumotomingei | 2009-02-18 18:20 | 卓子 | Comments(0)