修理品に思うこと
2010年 06月 15日
この椅子は、立川髙島屋のフェアの際お預かりした修理品です。
お孫さんになられるかたが、おじいさまの椅子なので
出来れば自分が使っていきたいと思い、修理して欲しいと写真をお持ちになられました。
拝見するとずいぶん古い品物で、おそらく昭和20年代終わりごろの
製作と思われます。
肘掛と背柱は片方破損していて取り替えなくてはいけません。
部品を交換しなくてはいけないので、塗装まで含めて綺麗にしましょうか?
と私がお聞きしたところ、そのお孫さんは、
「いいえ、使える部分は祖父が使い込んだままにしてください。」
「色がちぐはぐになってもかまいません。」
とおっしゃられました。祖父の面影を大事にされたいとのこと。
いいお話だと思いました。
で、会社にその椅子が届き、実物を確認したところ、とても使い込まれている
もので、型が微妙に今の物と違うことがわかりました。
肘掛の先端の形状、手が乗るところの形などが違います。
こうなると、部品を交換するだけというわけには行かず、当時の形に
あわせて作り出すことになります。
というわけで、現在この椅子は職人にゆだねられ、修理をまっているわけです。
手仕事だから請けられる修理、そして心を感じるご依頼でした。
そういえば、先の山陽百貨店でのこと、
父の日のプレゼントとして娘さんがご注文されたものがございました。
ロッキングチェアでした。
側にいたお母さんが驚いて、うれしそうにされていました。
今時の若者といいますが、いえいえ、心のある方はたくさんいますね。
出来るだけ使い込んだ味わいを残したまま、組み直し、座面の補修
をすることは可能です。ケースバイケースですが
出来るだけご希望にそうよう努力いたします。
ぜひ、お問い合わせくださいませ。
松本民芸家具 修理受付 担当 吉池友希 まで
0263-32-1326